マウントゴックスと独政府懸念で仮想通貨市場大幅安

今後債権者への弁済が始まるマウントゴックスや、独政府からの大量の売りの懸念を受けて4日はビットコインが大幅下落。同時に仮想通貨市場全般も大幅安の1日となった。

両者のウォレットから送金観測

　最近は軟調な展開が多い仮想通貨市場だが、4日木曜はまたも市場全体が大幅に下落した。朝方に975万円だったビットコイン（BTC）は、日中から夜にかけて一貫して下げが続き夜には約2ヶ月ぶりの安値となる915万円をつけた。

　他の多くの仮想通貨も同様で、イーサリアム（ETH）は朝方には53万円だったがビットコインと同様に下げが続き夜には一時50万円を割った。イーサリアムの50万円割れは、アメリカでETFに関する重要な承認が得られて暴騰した5月20日以来。

　またビットコインキャッシュ（BCH）は下落率が大きく、朝方に6万円だったレートは夜までに最大10％近く下げて5万4000円に接近した。

　4日の下げはマウントゴックスの債権者への弁済と、ドイツ政府からの売りという2つの大きな売り圧力への懸念が高まったためと見られている。

　マウントゴックスはかつて日本最大の仮想通貨取引所だったが2014年にハッキングによる流出事件を経て破綻。その後破産手続きが二転三転したものの、手元に残ったビットコインで債権者に弁済されることになった。

　その弁済されるビットコインの量は日本円にして約1兆5000億円にもなり、これだけのビットコインが今後売り圧力になることを市場は懸念している。さらに約100億円分のビットコインキャッシュも弁済される予定のため、ビットコインキャッシュにも大きな売り圧力となっている。

　そして4日になって少額ながらマウントゴックスのウォレットから他所にビットコインの送金が観測され、これが間もなく弁済が始まるとの懸念を高め4日の売り材料となった。

　そしてドイツ政府からの売り懸念もある。ドイツの当局は映画の違法配信サイトから今年初頭に約5万枚、約5,000億円分もの大量のビットコインを押収した。これが今後売りに出されるとの警戒が高まっている。

　ドイツ政府のウォレットからは、6月19日に約1億3000万ドル（約209億円）、翌20日に6,500万ドル（約105億円）、25日には2,400万ドル（約38億6000万円）、そしてその直後に3,000万ドル（約48億円）と立て続けに多くのビットコインが送金された。

　そして日本時間の4日午前中頃にさらに7,500万ドル（約120億円）ものビットコインが送金されたことで、ドイツ政府からの売りに対する警戒感がさらに高まり売り材料となった。

　これらの他にもアメリカ政府が押収したビットコインを売りに出すとの懸念も高まっており、市場には3つの売り圧力に対する警戒が存在している。これらが今後しばらくの間は市場に残り、今後数週間～数ヶ月は仮想通貨市場の上昇は期待しにくいかもしれない。