ビットコインは米独政府の売りに警戒

著者鳥羽賢

2024年6月27日

米と独政府は、犯罪者が不正な手段で得た大量のビットコインを押収し保管してきた。そしてそれらが売りに出されることを市場は警戒しており、最近になって米独政府から取引所のウォレットへの送金が観測されいよいよ売りへの警戒が高まってきた。

独政府は複数回送金

　今年1～3月頃にはビットコインETFの承認やビットコインの半減期を材料として上昇してきたビットコインだが、6月中旬以降は軟調な動きが続き最近は一時935万円まで下落した。

　そしてビットコインにとってまた新たな売り材料が出るのではないかと市場が警戒感を強めている。アメリカとドイツ政府が押収した、犯罪者が不正な手段で得たビットコインを市場で売りに出すのではないかとの観測が高まっているためだ。

　まずアメリカの方から話すと、アメリカは麻薬密売人のバンミート・シンという人物を追っていたが、2019年にロンドンで逮捕されたシンは2023年にアメリカに引き渡された。そして今年初頭にはシンが持っていた約8,000枚のビットコインを押収した。簡素化のためにビットコインレートを1,000万円とすると、8,000枚は合計で800億円分になる。

　アメリカ政府はこれらの8,000枚をいつか売却すると予想されていたのだが、今週になって約4,000枚が大手取引所のコインベースの法人サービスウォレットに送金されたことが明らかになった。これはいよいよアメリカ政府がこの4,000枚のビットコインを売却する準備なのではないかと見られている。

　次にドイツ政府だが、ドイツの捜査当局は映画の違法配信サイトから今年初頭に約5万枚、約5,000億円分もの大量のビットコインを押収した。

　これらもいずれは市場で売却されるのではないかと警戒されていたが、今月19日にはそのうち約1億3000万ドル（約208億円）、翌20日には6,500万ドル（約104億円）分ものビットコインが送金された事実が観測された。

　さらに今週の25日火曜には2,400万ドル（約38億4000万円）分のビットコインが、大手取引所のクラーケンとコインベースに送金されたことがわかった。その直後には3,000万ドル（約48億円）分がどこかの取引所に送金された。

　このようにドイツ当局が立て続けにビットコインを大量に送金しており、これは近い将来に押収したビットコインを売却し始めることを示しているのではないかと市場は警戒している。

　今週の24日月曜には2014年に破綻した日本の取引所・マウントゴックスが、ついに債権者に対して7月から弁済を開始すると発表し同じくビットコインの売り圧力になるのではないかと警戒されている。

　このようにビットコインは近い将来に3つの大きな売り圧力が出る可能性があるので、レートが大きく下落することも考えられる。

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