バフェット指数で見ても米国株はかなり割高

最近になってまた米国株が上昇し、主要3指数は揃って史上最高値を更新した。現在のNY株の水準をバフェット指数という指標を通して見ると、相当な割高水準にあることがわかる。

現在はITバブル時とほぼ同じ

米中貿易戦争が緩和に向かっているため最近になってNY株式市場がまた堅調な動きに戻り、ダウ工業平均は27,500ドルをつけて史上最高値を更新した。またS&P500指数とNASDAQ総合指数も最高値を更新した。

株高は悪いことではないが、現在の株価水準は相当な割高水準と言われる。いわば米国株は「バブル」の状態にあると言えるのだが、バフェット指数という指数を通してNY株を見るとそれが確認できる。

バフェット指数は著名投資家のウォーレン・バフェット氏が株価の割高・割安水準を判断するために使っていると言われる指数のこと。バフェット指数の計算式は単純で「株式市場の時価総額÷名目GDP×100」になる。つまりこの指数は国ごとに計算されるもので、GDPと株式市場の時価総額を比較することで判断する。

バフェット指数が「100」の場合、GDPと時価総額が同じであることを意味する。この数字は歴史的に主に50～150の間で推移してきており、50に近付けば相当な割安、150に近付けば相当な割高と判断することができる。

そして現在のNY株式市場の水準を見るため、今年の11月6日現在、つまり最新のバフェット指数をズバリ言うと「146」になる。これは150に近く、現在の米国株が相当な割高水準にあることを示している。

1980年頃からの米国市場におけるバフェット指数の推移を見ると、80年前後はかなり低迷していて40付近にあった。それが1990年頃までには60に上昇。そして90年代は後半のITバブルも含めNY株式市場が大きく上昇した10年間で、2000年3月末には148まで上昇していた。

しかしそこをピークにITバブルが弾けNY株式市場は下落。バフェット指数も148がこの時のピークとなった。その後の変動を見ると、2002年につけた底値は75、2007年6月末の天井は110と、この間は基準の100からそれほど乖離しなかった。だが2008年秋にリーマン・ショックで株式市場が大暴落した末に、2009年3月にはバフェット指数も57まで下落する。

それからは多くの人がご存知の通り、アメリカの量的緩和の効果もあってか株式市場とともに景気は回復し、バフェット指数も上昇。2019年11月6日現在で146にまで上がってきた。

バフェット指数が150近いからといって、絶対に近い将来暴落するというわけではない。しかし相当な割高水準にあることを示しており、きっかけがあれば暴落が起こってもおかしくない状況にある。

参考までに日本の株式市場におけるバフェット指数を見ると、今年の11月6日現在で「119」となっている。日本でも1989年末にバブルが頂点まで行った時は150近くになった後、バブル崩壊が起こった。

米国株のバフェット指数が150近くまで行っていることから、現在の米国株は2000年春までのITバブルに続く2回目のバブルと言ってもいいのかもしれない。