アルゼンチンがデフォルトで今後の展開は？

7月30日までが期限と定められていた債権者への支払いができず、アルゼンチンがデフォルト状態となった。しかしアルゼンチンはそう宣言しておらず、デフォルトを認めていない。今後の展開はどうなるのだろうか？

アルゼンチンの過去記事はこちら。

前回より影響は少ないか？

これまでの展開は上のリンクから行ける記事にも書かれている。アルゼンチンは2001年のデフォルト当時国債を持っていた債権者に対して2005年と10年に債務交換という形で整理を行ったが、それに応じない債権者から訴えられていた。そして訴えは認められ、原告のファンドには2001年当時の債務全額を支払わなくていけなくなった。

そしてこの判決は「パリパス条項」に基づいているので、勝訴した債権者を無視して債務カットに応じた債権者だけに支払いをすることができなくなった。そして6月30日の支払い期限が過ぎ、その後1ヶ月間の猶予期間も交渉はまとまらないまま過ぎたという結果になった。

これでアルゼンチンはテクニカルデフォルトになったわけだが、アルゼンチン政府はそれを認めていない。今後、この問題はどのような展開が考えられるだろうか？まず前回2001年のデフォルト当時深刻な影響を及ぼした最も大きな原因は、アルゼンチン国債を保有している金融機関や企業が世界に多く存在していたことだ。日本でも多くの金融機関や自治体がアルゼンチン国債を保有していた。

国債がデフォルトによって無価値になってしまったので、保有していた金融機関などは多大な損失を抱えることになった。しかしながら、前回のデフォルトによってアルゼンチンは国際金融市場での信用を失い、現在では国債を保有している海外の法人は極めて少ない。当然ながら日本にもほとんどいない。そのため、前回ほど深刻な影響にはならない。

またそれはアルゼンチン自身にとっても同様だ。前回2001年当時はそれまでアルゼンチンが海外への国債発行で資金を調達していたため、それがデフォルトによってできなくなると経済に大きなダメージとなった。しかし今回はすでに海外での国債発行はほとんどしていない状態なので、それができなくなってもあまりダメージにはならない。アルゼンチン自身にとっても、前回ほどのダメージにはならないと思われる。

むしろ一番ダメージが大きいのは債権者、特に債務カットに応じた債権者ではないだろうか？これまではカットされたとはいえ支払いを受けられていたのだが、裁判でファンド側の勝訴が決まってから「パリパス条項」のために支払いが受けられない状態になってしまった。この問題が何らかの解決策を見つけるまで、債務カットに応じた債権者も支払いを受けられない。

ともかく、アルゼンチンと勝訴したファンドはこれからも交渉を続けるといわれている。裁判に判決を出した米裁判所は調停人を指名して解決を図っているが、これまでのところ全く解決が見えていないのが現状だ。