太平洋のど真ん中、オーストラリアの北東にナウル共和国という小さな島国がある。とても小さな島なのだが、かつては「世界一裕福な国」と言われていた。しかしそれが今では、貧困国に転落しようとしている。
ナウル共和国について最初に基礎的なことから話しておこう。地理的に太平洋の真ん中に浮かぶ島国であることはすでに述べた。面積にしてわずか21平方キロメートルで、バチカン、モナコに次いで世界で3番目に小さい。これは日本で言えば、東京都港区程度の大きさである。そして人口は、わずか1万人程度だ。
歴史を見ると、昔は原住民がわずかに住むだけの何もない島だった。それが19世紀末の帝国主義時代に一旦ドイツ領となり、その時代に貴重な資源であるリン鉱石が発見された。このリン鉱石が、その後100年にわたってこの島の運命を決めることになる。
ドイツ領になった後は、数ヶ国がこの島の宗主権を何度か奪い合った。大戦中には日本軍が占領したこともある。しかし大戦が終わって1968年に、ナウル共和国として独立することができた。
そこからナウル共和国が取った道はどのようなものだったか?すでにリン鉱石が発見されていて、リン鉱石を海外に売るだけでお金が入ってくることが分かっていた。そこでナウル共和国は、国の運営を全面的にリン鉱石の採掘に依存することにした。
リン鉱石があるためにナウル人は何も仕事をしなくても暮らすことができた。採掘の仕事をする人が必要だと考えるだろうが、それは全て外国人の出稼ぎ労働者にやらせていた。また暮らすために必要な小売店や飲食店も、全て外国人にやらせていた。生粋のナウル人は、ほとんどが何もせずに遊び暮らしていたのだ。ごく一部の者が、議員など公務員の仕事に就いているだけだった。
リン鉱石で繁栄したナウルは、1980年代にその絶頂期を迎える。当時の国民1人あたりのGNPや所得は日本やアメリカよりも高く、世界一だった。日本のテレビ番組でも、「世界一お金持ちの国」として紹介されたことがあるほどだ。
国民はベーシックインカムとして何もしなくても所得が支給され、教育、医療、電気などは無料だった。また結婚すると住宅も無料でもらえた。まさに多くの人が夢見る楽園の生活を具現しているような国だった。
しかしそのような生活は長くは続かない。リン鉱石はナウル領内に無限にあるわけではなく、90年代に入ると産出量が減少してきたのだ。そして21世紀になる頃には、ほぼなくなってしまった。
それまで何十年もリン鉱石の販売だけで暮らしてきたナウル人は、リン鉱石がなくなると生活の糧がなくなってしまった。そもそもリン鉱石の採掘ですら、外国人任せで自分達はやってきていない。「働く」ということすら知らない人が大半だったのだ。
ナウル政府は、なんとかしてリン鉱石に替わる収入減を確保しようとやっきになる。そして海外での不動産投資などに手を出すが、それまで投資の経験などほとんどなかったナウル人がやっても、ことごとく失敗した。
結局ナウルは先進国からの援助に頼らざるを得ない国になる。しかし難民を受け入れることを条件に先進国から援助を受けても、難民の待遇が悪く暴動が起きるなどこちらでもトラブルが続いた。
現在のナウルは、援助がないとインフラすらも維持できない国になっている。「ユートピア」の夢とは、そうそう長くは続かないものだということを教えてくれる歴史を持つ国だ。
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