いよいよ変動金利ローンの金利引き上げが迫る

日銀が7月31日に利上げを発表したことで、3大メガバンクはじめ多くの銀行が、2日に短期プライムレートを引き上げた。住宅ローンの変動金利はこの金利によって決まるため、多くの銀行が10月の金利見直し時に変動金利を引き上げることになる。

3大メガバンクは1.625％

　日銀は7月31日に政策金利を0.25％引き上げた。その影響で8月1～5日の3営業日に株式市場が大暴落したものの、6日以降に反発して現在ではかなり落ち着いてきている。

　日銀の利上げによって直接的な影響を受けるものの1つが、住宅ローンなどのローン金利だ。住宅ローンには大きく分けて変動金利と固定金利があり、固定金利は日本の長期金利によって影響される。

　長期金利は2019～2020年頃に底をつけてその後は上昇傾向にあり、そのため固定金利の方はすでに少しずつ引き上げられてきた。

　それに対して変動金利は各銀行が設定する短期プライムレート（以下、「短プラ」）によって決まる。そして短プラは日銀の政策金利によって決まるので、7月末に日銀が利上げを発表して以来各銀行が動き出した。

　三菱UFJ、三井住友、そしてみずほの3大メガバンクは、日銀の利上げ後すぐに短プラの引き上げを発表。3行の短プラは日銀が政策金利をゼロにした2009年以降15年間1.475％だったが、それを0.15％引き上げて1.625％にすると述べ、そして3行とも9月2日から適用された。

　また地方銀行も次々と短プラを引き上げている、例えば中国銀行は9月2日にそれまでの1.975％から2.125％に引き上げ。岩手銀行、北日本銀行、東北銀行も同じく2日に同じ幅だけ引き上げて2.125％とした。横浜銀行、千葉銀行は同じく2日にそれまでの1.85％から2％へと引き上げた。

　すでに述べたように住宅ローンの変動金利は短プラによって決まるため、2日に多くの銀行が短プラを引き上げた以上は次回の金利見直し時に変動金利が引き上げられるのは必至だ。変動金利は大抵4月と10月に見直しが行われるので、次回は10月になる。

　しかし変動金利が引き上げられても、すぐにローンの支払いで家計が破綻するということはない。まず10月に変動金利が引き上げられても、その金利が適用されるのは通常来年1月からになる。

　また住宅ローンには「5年ルール」というルールがあり、変動金利が変わってもその後5年間は月々の支払額を増やしてはいけないことになっている。そのため2025年1月からの変動金利引き上げによって実際に月々の支払いが増えるのは2030年1月からになるが、返済総額が増えるのでローンの返済期間は延びることになる。

　「125％ルール」というルールもあり、2030年1月から月々の返済額が増えるにしても、それまでの125％を超えて増やしてはいけないと決まっている。つまりそれまでが月10万円なら、12万5000円までしか増やせない。ただし5年ルールと同じく、125％ルールのため増やしきれなかった返済額は期間を延ばすことで支払わなくてはいけない。

　日銀が利上げを発表した時からわかっていたことだが、今週の各銀行の短プラ引き上げで10月には住宅ローンの変動金利が引き上げられることがほぼ確実になった。現在変動金利で借りている層は、今後どうするか考えていく必要がある。