仮想通貨のさらなる規制強化が閣議決定

14日金曜に定例閣議が開催され、その中でマネーロンダリング防止などのために仮想通貨の規制をさらに強化することが決定された。規制強化のための法案は今国会で提出され、そのまま成立を目指す模様だ。

顧客情報を取引所間で共有など

　仮想通貨という全く新しい資産の形態は2017年から世界中で爆発的に普及し、今ではすっかり金融システムの一部になった。しかし全く新しい形態だけに、法整備がなかなか追いつかずマネーロンダリングなどの犯罪にも使われることが多く、既存の法制度ではそれを取り締まれない状態が続いてきた。

　その状況を見て国際社会は黙っておらず、国際的な金融システムの枠組みを構築するための機関・FATF（金融活動作業部会）が、2～3年前から仮想通貨規制の国際的な枠組み構築に向けて取り組んできた。

　日本もFATFには参加しており、ここ1～2年日本は仮想通貨規制が他国より遅れているという声も出ていた。2019年6月にFATFは「トラベルルール」と呼ばれるルールを発表。このルールは仮想通貨を送金する際に、法定通貨と同様に送金人の住所氏名や送金先などを仲介機関である取引所に報告する義務を負わせるというもの。

　日本は今年4月からトラベルルールを仮想通貨取引所に義務づけ、取引所で保有する仮想通貨送金時に送金人と受取人の氏名、そして受け取り先が仮想通貨取引所ならその情報を申告することが義務化された。

　今月・10月からはこの規制がさらに強化され、送金時には送金人の住所なども報告が必要になった。

　そして14日金曜に政府では定例閣議が開催され、そこでマネーロンダリング防止のための仮想通貨のさらなる規制案が決定した。この案によると、顧客が取引所経由で仮想通貨を送金する際に、顧客から得た住所氏名他の情報を、送金先の取引所と共有することを義務化する。

　またこれまでは犯罪の収益が仮想追加であった場合、他の金融資産のように没収ができなかった。今回の閣議決定案では、仮想通貨が犯罪による収益であった場合没収ができるようになる。

　それ以外にもマネーロンダリングなど仮想通貨を使った犯罪の刑罰をこれまでより重くする。これらの内容は、外為法、犯罪収益移転防止法、組織犯罪処罰法など6つの法案の改正案としてまとめられた。そして現在開催中の臨時国会に提出され、今国会中の成立を目指す。

　数年前は仮想通貨に対する規制がまだほとんどなかったので、仮想通貨を使ったマネーロンダリングだけではなく脱税などもあまり取り締まられていなかった。しかし各国は仮想通貨の規制を強化しており、これからは法定通貨と同様に送金時は厳しいチェックを受けるだろう。