今週の金融市場の動き総括、11月11～15日

先週は米大統領選後の期待感からNY株式市場や仮想通貨市場が高騰した。今週に入り仮想通貨市場は引き続き上昇したものの、NY株式市場はFRBパウエル議長の追加利下げに慎重な発言などから地合が変わりさえない1週間となった。

ビットコインは1,400万円突破

　先週5日に米大統領選が行われ、共和党のトランプ氏が勝利して来年1月から米大統領になることが確定した。そして大統領選後はトランプ氏の政策への期待などから、株式市場や仮想通貨市場が高騰した。

　そして明けた今週は、いくつか重要な経済指標が発表された。13日水曜にはアメリカの10月消費者物価指数が発表され、予想通りの前年同月比＋2.6％で前月の＋2.4％よりインフレ率が高まっていた。

　14日木曜にはユーロ圏の第3四半期GDP改定値が発表され、予想通りの前年同期比0.9％増だった。同じ日にはアメリカの10月卸売物価指数が発表され、予想を0.1ポイント上回る前年同期比＋2.4％。前月は＋1.9％だったのでこちらの指標でもインフレの再燃が見られた。

　15日金曜朝には日本の第3四半期GDPが発表され、予想の前期比年率0.7％増を上回る0.9％増だった。そしてこの日の午後にはイギリスの第3四半期GDPが発表され、予想の前年同期比1.1％増を下回る1.0％増だった。

　政策金利はメキシコが15日金曜未明に発表して予想通り0.25％の利下げを行い、金利を10.25％とした。

　すでに述べたように先週はトランプ氏勝利確定直後の6日水曜にダウ工業平均が1,508ドルも暴騰したNY株式市場だが、その勢いは今週まで続かなかった。

　11日月曜に304ドル上昇して史上最高値を更新したダウだが、翌12日は382ドル下落。13日は小幅な変動で終了したものの、14日は終了前にパウエル議長が講演で今後の追加利下げに慎重な発言を示したことで207ドル下落。週の最終日となる15日も305ドル下落し、週足では544ドル安だった。

　また為替が円安に動いたにも関わらず東京株式市場は軟調な動きが続いた。週明け11日は33円上昇した日経225平均は、翌12日には157円下落。そして13日には655円も下がり、14～15日は小幅な変動で終了。週足では858円安だった。

　そして為替市場も先週の円安・米ドル高が継続した。週の開始時は1ドル＝153円だった米ドル/円は、11日から連日円安が進行して15日朝方には156円50銭を超えた。しかしそれまでの急激な円安から調整が入り、15日日中から今週終了時までに2円ほど円高に動いた。

　仮想通貨に好意的なトランプ氏の勝利によって仮想通貨高が続いている。週明け11日朝方には1,250万円だったビットコインは、週前半は上昇が続き14日には1,450万円に到達。だがそこで上昇が一旦止まり、週後半から週末にかけて1,400万円で横ばいが続いた。

　またリップルはビットコインとは逆に週前半は緩やかな上昇に留まっていたが、14日頃から暴騰して週末には190円に到達。週明け11日は90円だったので1週間足らずで2倍超の暴騰となった。

　来週は22日金曜に日本の10月消費者物価指数が発表される。またトルコと南アフリカの政策金利発表もある。来週は比較的材料が少ない週になるので、株式市場はボラティリティの小さい週となる可能性がある。