「マージ」完了でマイニングビジネスが苦境に!?

イーサリアムの大型アップデート「マージ」が今月15日に完了した。今回のアプデはマイニングが必要なPoWから必要のないPoSに一本化するものであり、結果としてイーサリアムにはマイニングが不要になった。世界2位の仮想通貨で不要になったため、マイニングビジネスは今後苦境に陥ることが予想される。

イーサリアムにはもはや不要

　仮想通貨として時価総額ベースで世界2位のイーサリアムが、今月15日に大型アップデートの「マージ」を完了した。

　「マージ」が注目されていたのは、イーサリアムのブロックチェーンがこれまでのPoW（プルーフオブワーク）とPoS（プルーフオブステーク）の混在状態から、PoSに一本化されるためだ、

　PoWとはビットコインなどで採用される仮想通貨の従来の取引処理法で、有志が処理のためにコンピュータリソースを提供することで、提供者は少額の報酬をもらう。これをマイニングと呼ぶ。

　それに対してPoSではマイニングは行われず、仮想通貨を多く、そして長く保有している者が取引処理の役割を担う。ステーキングと呼ばれる処理方法だが、これはマイニングのように膨大な電力を消費しないメリットがある。

　PoSの方が環境に優しいため最近はPoSを採用する仮想通貨が増えてきている。イーサリアムも当初はPoWのみだったが、2020年頃のアプデで一部PoSへ移行。そして今月の「マージ」で残っていたPoWのブロックチェーンを全てPoSに統合した。

　これでイーサリアムからマイニングがなくなったことになる。しかしそうなると、世界2位の通貨を失ったマイニングビジネスが一気に縮小する。イーサリアムの「マージ」後、すでに業務を縮小するマイナーが増えているという。

　世界における主要なマイニング企業を見ると、カナダに本社を置くBitfarms（銘柄コード：BITF）は、2017年創業ながら仮想通貨ブームに乗って2019年には早くもNASDAQ市場に上場した。また中国のCanaan Creative（銘柄コード：CAN）も2013年創業で2019年にはNASDAQに上場した。

　中国のBitmain（ビットメイン）という企業もマイニング大手として知られているが、この企業は2018年に香港でIPOを申請したが承認されなかった。

　こういった大手も含め、マイニング業界は今後だんだん厳しくなっていくと予想される。しかし現在は世界最大の仮想通貨であるビットコインがまだPoWとマイニングを採用しているため、マイニングビジネスが完全になくなることはない。だがいつかビットコインもPoSに移行することになったら、その時はマイニング業界にとって致命的なダメージになるかもしれない。