米CPIがついに4％超え！インフレは本物か

12日午後9時半に米4月CPIが発表され、予想の前年同月比＋3.6％を上回る＋4.2％だった。米CPIが4％を超えるのは2008年以来で、米のインフレ懸念がさらに高まってきた。

コア指数の3％超は90年代以来

　アメリカが12日午後9時半に4月消費者物価指数（CPI）を発表。予想は前年同月比＋3.6％だったのに対し、発表は＋4.2％と予想をかなり上回る数字が出た。また変動の激しい食品やエネルギーを除いたコア指数は、予想が前年同月比＋2.3％、結果が＋3.0％だった。

　2021年に入ってから米経済のインフレ懸念が高まっているとアメリカの高官や財界人から何度も警告の発言が出ていたが、4月CPIの数字はそれを裏付けるものとなった。CPIは2月1.7％、3月2.6％だったので、2月以降に急速に高まっている。コア指数の方も2月1.3％、3月1.6％と続いてから4月には3.0％にもなった。

　CPIが4％を超えたのは、リーマン・ショックのあった2008年以来のこと。この年の夏頃には原油価格が100ドルを越えて147ドルまで上がり、原油高からあらゆる物の値段が上がって4％を超えた。しかし4％超えは短期間だった。

またコア指数の3％超えも最近は全くなく、前回3％台をつけたのは1990年代に遡る。つまりベース指数、コア指数ともに4月の数字はアメリカとしては相当高い方なのだ。

　インフレ率がここまで高まっている背景には、アメリカでワクチン接種が進み景気の回復期待が急激に高まっている点がある。アメリカは昨年12月からワクチン接種を開始したが、ハイペースで行われてきたので4月になるともう国民のかなりの割合が接種。感染数が激減し、経済活動をパンデミック前のように再開できる見通しになってきた。

　それに加えて大規模緩和を続けていることや、世界的な財の生産やサプライチェーンの乱れがインフレにつながった。

しかし昨年3月から4月にかけてアメリカでは急速に感染が広がり、全米でロックダウンが行われた。そのため昨年3月のCPIは1.5％、4月には0.3％とアメリカにしてはかなり低い数字となった。今年の3～4月の高いCPIは昨年の低さの反動と言える。

昨年の米CPIは5～6月も0％台の低い数字だったので、今年も5～6月はまだ高い数字が出るだろう。だが昨年7月には1％を回復しその後も緩やかに上昇しており、今年7月以降も多少はインフレ率が落ち着くことも考えられる。

　もし落ち着かなかったとしたら、FRBなど米当局はインフレに対処することを求められる。4月の数字はコア指数が3.0％でベース指数が4.2％だった。ということは必需品である食品やエネルギーがかなり値上がりしているということだ。これは庶民の生活にとって打撃になる。

　そしてインフレはアメリカだけの問題ではない。トルコ、ブラジル、アルゼンチンといった新興国や、その他の途上国でも資源価格の高騰や通貨安によって国内のインフレ率は高まりつつある。

　アメリカ国内でインフレが進行すればFRBには緩和縮小から利上げへと引き締め圧力がかかるが、無尽蔵な緩和が世界的なインフレを起こせば他国からも同様の圧力がかかる。すべては今後のインフレ進行次第だが、FRBが緩和を縮小し利上げをしないといけなくなる日は遠くないかもしれない。