香港ドルは為替制度として、米ドルに対してペッグしている。しかし最近の中国や香港の株安を受け、それが崩れるかもしれないという観測が一部に出てきている。
日本やアメリカの通貨は完全な変動相場制で、為替レートは市場のメカニズムによって決まる。しかし世界には、自国通貨の交換レートを特定の国の通貨に対して固定している国がまだかなりある。それをペッグ制という。
自国通貨をペッグしている国のほとんどは、米ドルかユーロに対して固定している。それはこれらの通貨が価値がかなり安定しているためだ。中南米やアジアには米ドルにペッグしている国が多く、アフリカや東欧にはユーロにペッグしている国が多い。不安定になりがちな途上国の通貨は、米ドルやユーロにペッグすることで価値が安定する。
そして香港ドルの場合、1米ドル=7.75~7.85HKドルという幅が決められており、それを超えてレートが変動しないようにしている。つまり香港ドルは米ドルにペッグされている。
ところでペッグ制は、黙って座っていても維持できるものではない。ペッグ制を維持するためには、為替市場でレートが基準幅を超えて変動しそうになったら中央銀行が自国通貨を売ったり、外貨を売ったりしてレートを維持しなくてはならない。
ペッグ制が崩れるパターンで多いのは、市場の自国通貨売りの圧力に耐えられない時だ。外貨を十分持っているなら、自国通貨売りに対し外貨売りで対抗してレートを維持する。しかし外貨がなくなってしまうと、それが維持できずにペッグ制が崩れる。
香港ドルのペッグ制が崩れるかもしれないという観測が一部に出ているのは、最近中国経済に対する不安が急激に高まっているためだ。そしてそれは、中国領としての香港も含まれる。上海・香港などの株式市場が下落し、また中国に対する不安も高まっているため、中国から資本逃避が進んでいる。それは人民元や香港ドルの外貨への両替需要を高め、香港ドルの売り圧力が最近高まっている。
ただ香港はカレンシーボード制という制度を採用しているので、為替レートの安定度は単なるペッグ制より高い。カレンシーボード制とは、自国通貨を発行する際に、同価値の米ドルを発行する中央銀行が保有することを義務づけている制度だ。
カレンシーボード制は米ドルなど外貨を保有しておくことで、為替市場で自国通貨売り圧力が高まっても、対抗できるようにしている。
実際に香港ドルのペッグ制が崩れる可能性はまだ低い。ただしペッグ制は一度崩れると、直後の変動がすさまじい。去年1月にはスイスが1ユーロ=1.2フランに設定していた上限と突然撤廃し、その直後にユーロ/フランのレートが数千pipも動いた。この大変動でフラン売りのポジションを持っていたトレーダーは、壊滅的な打撃を被った。
香港ドルは米ドルとほぼ同じように動くため、香港ドル/円などを好んで取引するトレーダーはそれほど多くない。ただ取引をするなら、ペッグ制が崩れたらそれまでの米ドルとほぼ同じ動きも終わってしまうことには気をつけた方がいい。
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