州議会選に独立をかけるスペインのカタルーニャ

スペインの北東にあるカタルーニャ州で、今月27日に州議会選が行われる。しかし今回はカタルーニャ州がスペインから独立することに賛成する政党が過半数を取る可能性があり、そうなるとカタルーニャの独立が加速することになる。

カタルーニャの過去記事はこちら。

賛成派政党が過半数を目指す

カタルーニャ州にはカタルーニャ人というスペイン人とは違う人々が多く住んでいる。しかしカタルーニャが最後に独立国だったのは500年以上昔で、1479年にカスティーリャ王国とアラゴン連合王国が婚姻関係によってスペイン帝国として統一されて以来、500年以上スペインの統治下にあった。

とは言え、リーマンショック後のヨーロッパの長期不況を受け、ここ2～3年になって特にカタルーニャ人の間に独立気運が高まっている。カタルーニャはスペインの中でも比較的豊かな地方なので、スペインから独立してもやっていけると思っているカタルーニャ人が多い。

去年の11月には、カタルーニャ独立の是非を問う住民投票が行われる予定だった。しかしスペイン政府は独立に猛反対しているため、投票に関して憲法裁判所に提訴。憲法裁判所は独立投票の差し止めを命じた。

ただその後カタルーニャは法的効力を持たない独自の投票を行い、過半数が独立に賛成という結果になった。

そして今月の州議会選だ。カタルーニャ州議会は定数が135なので、過半数は68となる。つまり独立賛成派の政党が68議席を取れば、独立への動きが加速する。

前回2012年11月の選挙からこれまで、3党で連立政権が組まれていた。37議席の民主集中（CDC）、21議席の共和主義左翼（ERC）、そして13議席の民主同盟（UDC）、の合計71議席だ。

この3党の中で、CDCとERCはカタルーニャ独立に対し「全面的に賛成」のスタンスでいる。ただ問題はUDCにあった。UDCは党内でも独立賛成派と反対派が割れており、今回の選挙に向けたスタンスを決めるために6月に党内投票まで行った。

その結果、賛成派がわずかに反対派を上回る。しかし反対派も半分近くいたため、結局完全に賛成には回れないことが明らかに。UDCの党内投票の結果を受け、最近までCDCとUDCの両党は「集中と統一（CiU）」という名で合流して1つの政党になっていたのだが、CiUは解散となり、また2つに戻ったのだ。

今月の州議会選では、CDCとERCが2党で過半数の68議席を目指している。選挙前は2党合わせて58だったので、今回10以上増やさないといけない。世論調査では、2党で68議席に到達するかどうか、かなり微妙なラインにある。現時点では、結果が全く読めない状態だ。

しかしもし過半数を取れれば、カタルーニャは一気に独立に傾く。ギリシャ問題や難民問題でかなり厳しい状況になっているユーロ圏だが、また1つ頭痛の種が増えることになる。